パトリス・ルコントのボレロ

監督 パトリス・ルコント
製作 1992年 仏
出演ジャック・ヴィルレ、ロラン・プティジラール
受賞  
紹介「15分以上もの間、全く同じリズムをロボットのように刻み続けなければならない「ボレロ」(ラベル)のドラマーを、人間として描きたかった。」ルコントが長年温めたこの構想を、演奏中のオーケストラのメンバーをハンディカメラで撮影するという最もシンプルな形で8分という極短編に集約させたのがこの作品。
ドラマーは俳優のジャック・ヴィルレが演じている。執拗に迫るカメラを意識したり、隣のティンパニーの大音響に辟易したりと、通常我々が感じることのない演奏中のオーケストラ団員の「動揺」を目一杯表現しながらも、手は機械的に同じリズムを刻みつづけるという、このアンバランスがとても滑稽。ルコント一流のある種意地悪な視線である。そして、唯一テンポが変化するフィニッシュに全精力と鬱憤を注ぎ込むラストがいいメリハリを効かせてGood。
新人監督の習作のようでもあり、他愛もないといえばそれまでだが、当時「髪結いの亭主」を成功させて既に名匠の名を得ていたルコントの手による、という前提で見るとなかなか興味深い。
下北沢に99年12月オープンした短編映画専門館「Tollywood」での観覧。
評価 ★★★
  

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