ことばの解説  「海水温」
 
 
 
<海水温の夏の天候への影響>
 偏西風の影響を強くは受けない夏の天候には海水温が大きく影響します。
 まず、日本のはるか南方、フィリピンの東方の海水温は積乱雲に代表される「対流活動」「対流雲発生」の原動力になります。その組織化されたものが台風。 海水温分布、すなわち他の地域との相対的な関係や、上空の気温の状態にもよりますが、一般には、水温が高いほど対流が起きやすい、つまり上昇気流が発生して雲ができやすい、と言えます。
 ここで上昇気流が強まると、上に昇った気流が対流圏の上端で北に広がり、北緯30度ぐらいのところに吹き寄せて「太平洋高気圧」に空気を送り込みます。高気圧はもともと周りよりも空気が詰まっている区域(だから地上で計ると上に乗っかる空気が周りよりたくさんあって「重い」)ですから、ここにさらに空気が吹き込まれて、高気圧が強まることになります。

 ただ、日本付近は、大気(偏西風)の流れを大きく乱すヒマラヤ山脈やチベット高原の風下にあるので、海水温分布だけで天候が決まるわけではなく、チベット高原の積雪の量など、偏西風の蛇行に影響を与えるその他の要因も考慮されなければならないので、あとで説明はできても、事前に予測するのは難しいのです。

平成10年7月6日


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