ドラマ「兄弟」

監督 石橋冠・演出/竹山洋・脚本
製作
出演ビートたけし、豊川悦司、桃井かおり、鰐淵晴子、余貴美子、麻生祐未、高島礼子、工藤静香
受賞  
紹介稀代の名作詞家なかにし礼の自伝的小説を元にしたテレビドラマ(テレビ朝日)。
特攻隊の生き残りとして帰還した後、際限無い失敗と浪費を重ねる破天荒な人生を歩み、家族の命運を翻弄した兄をビートたけしが、そしてその弟=なかにし礼本人を豊川悦司が演じる。脇役陣も大変豪華で、それぞれ適役ぞろい。
特攻隊として死の飛行への出立を待ちながら終戦を迎え帰還、皇国快進のヒーローから一転無為者へとなって戦後の混乱社会に放たれた男が、例えようも無い空虚感と長い人生への恐怖に押しつぶされ、壊れて行く。そんな家長を家族は只固唾を飲んで見守る術しか持たない。
弟は訳詞家からやがて歌謡曲の作詞家へと頭角を現わし、兄はその「おこぼれ」にたかる日々に甘んじるようになり、そのことがまた彼自身の尊厳を傷つけ、さらに破滅へと歩ませることとなる。弟は次第に兄を憎み始めるが、彼の詩情はまた、兄がもたらす荒んだ感情によるところが大きいことも否定できない。自ら「俺はおまえの『影』だ」と弟に語る兄。彼の戦後の半生、心に去来したものは何だったのか、そして弟にとってそんな兄は如何なる存在だったのか。「兄さん、お願いだから死んでくれ」「兄さん、死んでくれて、ありがとう」このキャッチーなコピーだけでは語り尽くせない兄弟の心の歴史が重い。
壮絶な原作のドラマに対し、脚本は平凡なストーリー追尾型で無味。豪華なキャストの個性に頼る構成。そのキャスト陣も、感情移入しにくい脚本のせいか演技に心が無くぎこちない。いっそ、たけしが監督した方が、リスクはあっても「色」のある作品になったろう。それでも一定の感動が得られたのは、実話である原作の持つ、そして「兄」の持つ魅力に負うものであろう。
評価 ★★★
  

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