本当に若い娘 2001/11/29

■「本当に若い娘」(1976年 仏) 評価 ★★★☆
監督/カトリーヌ・ブレイヤ
出演/シャルロット・アレクサンドラ、ハイラム・ケラー、ブルーノ・バルブ、リタ・メイデン、シャーリー・ストラー
http://www.prenomh.com/musume.html

□あらすじ
 アリス、14歳。幼い顔立ち、豊かな胸、性への抑え難い興味と衝動、でも脱ぎ捨てられない処女の殻。大嫌いな田舎での夏休み、野生的なジルという青年と出合った彼女は、妄想を現実にしようと心に決める。
□みどころ
 女性監督カトリーヌ・ブレイヤが25年前に撮影し、その過激な性表現のために<X指定>、つまりポルノ映画との烙印を押されてお蔵入りとなっていた幻の作品。今年、男女関係に於ける女性の解放と反逆を新感覚で描いた彼女の「ロマンスX」が世界的ヒットを遂げ、本作も晴れて公開の運びとなった。
 1976年と言えば、かの大島渚監督による「愛のコリーダ」が公開された年でもある。「コリーダ」がOKで「娘」がNG・・・その境界線は何処に?答えは、やっぱり「必然性」。何か、女優が初脱ぎで使うイイワケのようだが、やっぱり当局を納得させるにはこのイイワケが一番通りがいいのだろう。監督自身がポルノだと言っていることとは裏腹に、「コリーダ」ではその行為自体が物語であり、それを封じられると表現が成り立たない。が、本作ではどうだろう。筆者にはエログロ趣味で唐突だという印象が強い。危険を冒してまで殊更に性器を露出させる必要はなかったろう。「芸術に必然などない、あるのは自由」と言われればそれまでだが、筆者は露骨さを避けてのシャレタ演出が好きだ。ただ、25年ぶりに公開解禁との触れ込みの割には、問題となるシーンは僅か。正直のところ拍子抜けの感も否めず、スケベ趣味での鑑賞にはやや物足りないかもしれない。こ
 さて、本作の魅力、それはなんといっても、見てはいけない少女のプライベートを、その脳の中までも覗き見してしまったような、えもいわれぬ罪悪感にあると言える。体の成熟に戸惑い、臆病なくせに男に誘いをかける。執拗なまでに詳細な心理描写は、女性監督ならではの実体験に基づいたものか。14歳の設定に当時18歳のアレクサンドラを配したことも、少女のおませな役作りに一役買っているし、彼女もその演出に余裕を持って応えている。彼女は、本作の非公開騒ぎが災いしたのか、翌年に「さよならエマニエル夫人」に出演したのを最後にキャリアを断っている。美形ではないが、表現力豊かな女優だけに、非常にもったいないところ。
 筆者は男性であるが、本作を女性が観た場合には全く異なる感想を抱かれることだろう。それは共感だろうか、それとも違和感だろうか。
 ダラダラとした展開がラスト数分間で突然加速して強引なクライマックスに向かう監督独特の撮り口は、「ロマンスX」に共通する監督のテイストを感じさせる。あと一歩だったのに・・・。期待通りには行かない乙女の憂鬱。アリスの悶々たる日々は、映画終了後も続くのである。

<koala>

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