金色の嘘 | 2002/01/27 |
![]() 「パコダテ人」情報はコラム末にもあるので、そちらも読んでみてね。 ■「金色の嘘」(2000年 英米仏) 評価:★★★★ 監督/ジェームズ・アイヴォリー 原題/The Golden Bowl 出演/ジェレミー・ノーザム、ユマ・サーマン、ケイト・ベッキンセール、ニック・ノルティ、アンジェリカ・ヒューストン <東京・大阪にて公開中/予定> □あらすじ >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 愛し合いながらも貧しさ故に結婚できなかった米国人女性シャーロット(サーマン)とイタリア人貴族アメリーゴ公。時は移ろい、アメリーゴはシャーロットの親友である米国の大富豪令嬢マギーと結婚することに。一方シャーロットはマギーの父ヴァーヴァーからの求婚を受ける。こうして四人は、表向き実に幸せな家族となる。しかし、二組の夫婦をまたいだ夫と義母、父と愛娘の深すぎる絆は、やがて隠しようもなく露呈し、虚飾を打ち砕いてゆく。。。 □みどころ >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 予告編では、【上流階級に渦巻く嘘また嘘・・・】といった内容紹介だったのだが、観てみるとこれが意外や意外!とてもそんな一面的な見方では片付けられない、深い深い人間の性(さが)というものが背景に横たわっていて、観終わって時間がたつほどにより一層考え込まされる重厚なドラマなのだ。J・アイヴォリーがそんな薄っぺらな欺瞞劇を作るはずがないとは思っていたが、やはり観てみると、さすが巨匠と唸らざるを得ない。 人間の間柄には、性(さが)と言おうか、どうしようもない事情がある。掛け違えた縁(えにし)のボタンもある。それはそれとして、その事実から幸せな人間関係を守るためには、嘘もつかねばならないときがある。いわば思いやりの嘘。でもその嘘自体、その嘘で守られた幸せというものの、なんと脆いことか!その嘘が善意たりうるのは一生それを守り通した場合のみ。ひとたび綻ぶや、それは鋭利な刃に変わってしまう。そして、脆いが故に、儚いが故にそれはまた、美しくもあるのかもしれない。 原題はドラマのシンボル・アイテムである水晶金杯にちなんで"" The Golden Bowl""となっているのだが、邦題では敢えて「金色の嘘」としているところが、よりこのドラマの真髄に迫っていてニクい。 配役は選び抜かれたはまり役揃いで、コスチュームものに欠かせない映像の格調度や調度品のセンスなど、完成度は極めて高い。冒頭に物語の行く末を暗示するかのごとき逸話を挿入して破滅への方向付けをしつつ、ある意味予想を裏切る結末へと導いてゆく演出、そして、象徴としての水晶金杯も、アンティークショップでの顛末を綿密かつ端的に描写することで、見事にドラマの中で印象付けているあたり、見事というほかない。 そして、こうした監督の意図に見事に応えたユマ・サーマン、ニック・ノルティの二大ベテラン俳優の素晴らしい心理描写にも心行くまで酔って頂きたい。 公開間もないにも関わらず客入りは今ひとつのようだが、ドラマ好きにはぜひ一見を薦める作品だ。 +:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+関連作品紹介+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+:+ 英国貴族社会を舞台にした重厚な人間ドラマを描かせれば右に出る者はいない、巨匠J・アイボリー監督の作品から3作を紹介。 ■「日の名残り(ひのなごり)」(1993年 英) 評価:★★★★★ 原題:THE REMAINS OF THE DAY アカデミー賞八部門ノミネート 出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン □みどころ 第一次大戦後の英国。親ナチ貴族の屋敷で執事として一切の私情私見を排して文字通り「滅私奉公」するスチーブンスと有能な女中頭ケントンとの秘められた恋情を、20年後の両者の再会と同時進行で描く、壮絶な【ラブ・ストーリー】。 原作は日系の英国作家カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作。過ぎ去った日々に対してまで、忠誠の操を守り抜こうとする主人公。そして、その美学とも言える彼の姿勢に、心中では慟哭しつつもその心情を【理解】してしまう女。こうした図式には、英国貴族社会の格式と、日本的な忍従との融合を感じずにいられない。クライマックスでの両者の<ほんとうの思い>を想像したとき、彼らの「決断」の壮絶さは観る者の胸を揺さぶり、あふれ出る涙を止める術をなくすことだろう。 ■「眺めのいい部屋」(1986年 英) 評価:★★★★ 原題:A ROOM WITH A VIEW アカデミー賞三部門受賞 出演:ヘレナ・ボナム・カーター、ジュディ・デンチ □みどころ こちらは一転、英国の良家令嬢と、彼女が旅先のイタリアで出会った青年とのぎこちない恋の顛末を、表題に偽りない美しい風景や衣装とともに綴る、ラブリーでキュートなラブ・ロマンス。とにかくヘレナの表情が素敵。 ■「ハワーズ・エンド」(1992年 英日) 評価:★★★☆ 原題:HOWARDS END アカデミー賞四部門受賞 出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、H・B・カーター □みどころ 逝去した資産家夫人の愛した別荘「ハワーズ・エンド」を巡り、生前の夫人に愛された一女性と、資産家一族とが繰り広げる人間ドラマ。進みの遅い展開を、ホプキンスの名演技が引き締めている。 ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ ■■ 函館生まれの恋するファンタジー映画【パコダテ人】 最新情報 ■■ ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ 東京での試写会に早くもリピーター続出!ゆうばり国際ファンタスティック映 画祭正式招待に続き、映倫青少年審議会推選作品にも決定。その主題歌と挿入 歌が入ったWhiteberry 2ndアルバム『カメレオン』が1/23発売リリース!公 開が待ちきれない人は、ひと足お先に耳でパコダテ人の世界を楽しんでみよう。 ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ 出演:宮崎あおい 大泉洋 松田美由紀 徳井優 松田一沙 萩原聖人ほか 監督:前田哲 応援サイト http://www.sak2.com/home/pakodatejin ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ <koala> 宮崎あおいメーリングリスト:http://www.egroups.co.jp/group/aoi_fanclub ゆうばりI・F映画祭:http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm 「害虫」:http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2455 |