「翼をください」&ミーシャ・バートン特集 2002/05/12

 イギリス出身の正統派女優ミーシャ・バートン待望の主演作「翼をください」が遂にロードショウ開始。今号では、この作品とミーシャ・バートンの過去作の紹介をしてみよう。
 ちなみにミーシャは、「カルバン・クライン・チルドレンズ・ウェア」のCFイメージ・キャラクターとしても有名で、また、既にニューヨーク・リンカーン劇場で舞台キャリアも積んでいるなど、超エリート・コースをひた歩んでいる、将来を嘱望される若手女優なのだ。「シックス・センス」や「ノッティング・ヒルの恋人」にチョイ役で出演してたりもするので、チャンスがあればチェックしてほしい。
http://www.asahi-net.or.jp/~ns8m-hgc/movie-barton.htm

■「翼をください」(2001年 カナダ) オススメ度:★★★
監督/レア・プール    原題/LOST AND DELIRIOUS
出演/パイパー・ペラーボ、ジェシカ・パレ、ミーシャ・バートン
<東京・神奈川公開中、大阪・神戸・福岡6月公開予定>
http://www.tsubasa-movie.com/
◆あらすじ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 母が亡くなり、継母にはなじめないメアリ。裕福で厳格な家庭に育ったトリー。そして母に生み捨てられ施設で育ったポーリー。それぞれの事情を抱えたこの3人は女子寄宿学校で同室になり、交流の中でそれぞれの境遇を受け入れ、夢を育てる。が、トリーとの相思相愛の関係を中傷とポーリーの心変わりによって引き裂かれたポーリーは、激しい喪失感を受け止められず、森で出会ったハヤブサに思いを託す。。。
◆みどころ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 16歳以下と言うことでヌードになれないために、恋愛の渦中の役を取れず、ストーリー・テラーとしての役回りを担当したミーシャ・バートンは、継母の許で感情を押し隠すことを覚えた物静かな少女、というキャラクターを印象的に演じている。準主役だが、彼女の演技を楽しむという意味では、非常に満足できる一作だ。
 ストーリー面では、<奔放な生徒v.s.堅物の教師>、<女子寄宿学校=男子禁制の尼僧状態>と言った従来のプロトタイプにはまっていないところはリアルで現代感覚にマッチしていて好感が持てる。が、そこまで現実を受け入れたのなら、ラストをきれい事のおとぎ話にして現実逃避してしまったのはなぜか。これには正直失望した。
 キャスティングでは、3人とも演技力の面では申し分ない。が、ポーリーとトリーは演じる女優のタイプがあまりに似通っており、しかもキャラクター設定上での峻別も明確ではないために、絵面上も見分けが着きにくいし、ストーリーや主人公たちの心象風景の理解も妨げる結果となっている。
 ・・・といろいろ言ってはみてもこの映画、結局女の子にしか理解できないのではないだろうか。ポーリーとトリーの関係は、おそらくは大人のそれとは違っているのだろう。また、トリーとの関係を見咎められた後にポーリーのとった行動も、男の私には理解できない部分が多い。果たしてポーリーの真意はどこにあるのか。女の子の心理として、いくら喪失感を埋め悪い噂を避けるためとは言え、掌を返したようにあんな行動(・・・観てのお楽しみ)に走れるものなのだろうか。疑問は尽きない。ぜひ女性の皆さんの感想を聞いてみたいところだ。ただ、こうした性差を超えて観客に映像や台詞を通じて説明するのが映画なのではないだろうか。そういう意味では、脚本力と演出力の不足を指摘すべきなのかもしれない。

☆☆☆☆☆☆☆☆  ミーシャ・バートン出演作品紹介  ☆☆☆☆☆☆☆☆
■「キャメロットガーデンの少女」(1997年 英米) ★★★★
監督/ジョン・ダイガン  原題/LAWN DOGS
□あらすじ >>>
 城壁に囲まれた郊外の高級住宅街キャメロット・ガーデン。映画のセットのように生命感のないこの虚構じみた街に越してきた空想癖のある孤独な少女が、ここで芝刈りに出向いてくる貧しく孤独な青年と心を通わせる。このことが街の人々の反感を買い、整った体裁の下で沸沸と醸成されていた住人のストレスと心理の屈折が魔女狩りのように彼に向けて爆発する。
彼女は唯一の心の友の危機を救った後、彼女は現実世界を離れ、信じる御伽噺の世界へ入り込む。そして青年も彼女に教わった「おまじない」を実行することで、失望しかない現実世界=キャメロット・ガーデンと決別する。
□みどころ >>>
 ミーシャ・バートン映画デビュー作。ロシア系かと思われる彼女の神秘的な表情と不思議なお色気が、この異色ファンタジーを牽引し、観客を惹き付ける。対するサム・ロックウェルもいい。あからさまな階級差別をも甘受し、いつか叶う脱出の夢に生きる青年を見事に演じきっている。ラストの演出は賛否分かれるところか。
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■「パップス」(1999年 米) ★★★
監督/アッシュ  プロデュース/奥山和由 (Team Okuyama)
□あらすじ >>>
 アメリカの片田舎を舞台に、なんとなく手に入れた拳銃を持って、通学途上のふとした思いつきで銀行へ乱入した13才のカップルが引き起こすセンセーションと悲劇。
□みどころ >>>
 テーマはまさにタイムリー。閉塞感に苛まれた少年少女の狂気だ。日本でも、少年による理由無きバスジャックや尊属殺人、強殺などが頻発しているが、一足先にこうした状況を体験し始めたアメリカの現実が生んだ一作。映画は、ほぼ全編が銀行内に立てこもる二人と大人たちとのやりとりに終始する。そこから伝わるのは、子供と大人を繋ぐ共通言語の悲劇的な欠如。猛る少年の怒りは大人たちには響かない。そして、自分勝手な保身しか考えない大人たちの説得はキレた少年の心にひたすら空々しい。
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■「誘惑の接吻(キス)」(2000年 米) 日本未公開・ビデオ化 ★★★
監督/タムラ・デイヴィス 共演/ドリュー・バリモア
□あらすじ >>>
 金も名誉もある厳格な祖父。奔放な母。そしてその母が14歳の時に産んだたった一人の息子。父親は不明。。。こんな境遇の母子が故郷を遠く離れた町に越してきた。程なく息子は隣の家に住む同級生の少女(ミーシャ!)に恋をしてしまい、二人は親友という名のセックス・フレンドに。やがて生まれた赤ん坊と合わせて四人。ニュー・アメリカン・ファミリーの誕生だ。
□みどころ >>>
 日本未公開(ビデオあり)だがドリュー・バリモアとの共演となった本作。ストーリーもディカプリオ主演の秀作「ボーイズ・ライフ」の亜流のよう。が、ボーイフレンドとはsexしないのに親友とはするとか、別れた時に困るからとボーイフレンドには教えない秘密の場所を男の親友には教えるとか、そうした少女の微妙な心理が表現されていて印象的。ミーシャも後ろ姿ながらヌードに挑戦しての体当たり演技を見せてくれている。
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■「監禁」(2000年 英) 
監督/ジョン・ダイガン 共演/ジェシカ・アルバ、イアイン・グレン
□あらすじ >>>
 のぞき魔も、時には役に立つ?「裏窓」や「仕立て屋の恋」を髣髴とさせる設定のB級サスペンス・スリラー。
 美人モデルがホームパーティーに訪れた郊外の邸宅で気を失わされた上犯される。意識を取り戻した彼女はその様子を撮影したビデオを見て真相を知ったために、地下室に監禁されてしまう。絶体絶命の状況下、いつもの偏執狂から携帯に無言電話がかかってくる。彼女はその見知らぬ相手に助けを求める。。
□みどころ >>>
 おずおずと、しかし誰よりも大いなる勇気を以って彼女を救った「のぞき魔」さんが意外な味わいを見せていてgood! ある意味、憧れの彼女と実際に接触する以上の誇るべき「愛」を示した彼が、晴れて偏執の世界から解放される、その姿がほほえましい。
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━…━…━…━…━…━…パコダテ人ニュース━…━…━…━…━…━…━
★東京(銀座シネパトス)での上映は5/17マデ。まだの人は急げ!
★大阪ではテアトル梅田、千日前・千日会館、動物園前シネフェスタで6/29〜
★京都では新京極・京極弥生座にて7/6〜
★名古屋(名古屋グランド)、仙台(仙台フォーラム)でも公開が決定!
☆オフィシャル http://www.pakodatejin.com/ (40000アクセス突破!)
━…━…━…━…━…━…  害虫ニュース  ━…━…━…━…━…━…━
★東京・ユーロスペースでは上映期間を延長、レイトショウにて6月まで上映!
http://www.eurospace.co.jp/newsmov.htm
★全国で順次拡大公開中 http://www.gaichu.org/theater.html
☆オフィシャル http://www.gaichu.org/
━…━…━…━…「富江 最終章 〜禁断の果実〜」 ━…━…━…━…━…
★安藤希(「さくや妖怪伝」)&宮崎あおい主演
★6/29〜銀座シネパトスほかでロードショウ
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2933
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