パコダテ人 2002/04/24

 はこだて/パコダテ、なんじゃらホイ? 今回は、全国展開の第一段としていよいよ今週末から東京で上映が開始される奇想天外な""実写版""ファンタジー「パコダテ人」の紹介と、このラブリィな映画を世に送り出した、これまたラブリィな前田哲監督の特集です。

■「パコダテ人」(2001年 日) オススメ度:★★★★
監督:前田哲  脚本:今井雅子(函館イルミナシオン映画祭準グランプリ受賞)
出演:宮崎あおい、松田美由紀、松田一沙、大泉洋、勝地涼、萩原聖人
上映館:銀座シネパトス・新宿東映パラス2(4/27ヨリ)、
  大阪・動物園前シネフェスタ(6/29ヨリ)、以後順次全国展開予定。
公式サイト: http://www.pakodatejin.com/
上映情報:http://www.ytv.co.jp/cinema/pakodatejin/profile/screen.html

◇あらすじ
 函館に住むフツーの女子高生日野ひかる(宮崎)。或る朝目覚めるとナント!お尻にフサフサのでっかいシッポがぁ!!え゛ーっ、なんで?ヤダー!学校行けなーい!デートもオアズケ!家族はなんて言うだろう?友達は?あ゛ー、どーしよう・・・。でも、「何があってもひかるはひかる」という暖かい家族愛が支えとなり(過ぎて(笑))、何と彼女はテレビで自分がシッポ人間であることをカミングアウト!世の中ワカランもんで、飛びきりキュートなルックスも幸いし、彼女は一躍函館のアイドルに!ところが・・・

◇みどころ
 お風呂やさんに学校に・・・年代物の建物がピンク色に彩色されたメルヘンチックでモダンな港町・函館を舞台にしたファンタジー。だけど、CGや特殊効果は一切使われておらず、映像は至ってリアル。「シッポ人間」に対する周囲の反応も大マジメ。これが<笑って泣ける>この作品のミソ。マジメだから滑稽だし、リアルだから泣ける!あざとい仕掛けはしてないので、人によってポイントは違うと思うけれど、登場人物たちのハイテンションぶりに負けないで心に素直に、大いに泣き笑いしながら見て欲しい。
 この作品のkoala的みどころはズバリ三つ。
 ひとつめは、本物の家族を超えた日野家の四人家族の結束と愛!おっちょこちょいだけどみんなを守ってくれるトウチャンは、「勉強しまァっせ引越しの〜サカイ」のあのお師匠さん役の徳井優。優しくて理解のある母さんは松田美由紀。爆発頭がトレードマーク、自称デザイナーで、妹ひかるの危機を逆転の発想で救ったサイケなお姉さんは松田一沙。そしてひかる自身も、天パ赤毛に悩むお姉ちゃんに自身と勇気を与えた張本人だったり。とにかく、みんながその一員になりたいっ!って思える素敵な素敵な家族なのだ。
 二つ目は、あまりにうま過ぎる携帯メールを使った恋の演出。<屋根上メール>のシーンは、koala最高のお気に入りだ。また、このやり取りには、モテる男の子の会話術のヒントが満載。常に女の子の気持ちを第一に会話を展開する術は、今更ながらに目からウロコなのだ。自身は文字入力が超遅いという前田監督だけど、こと映画の中での携帯メール使いぶりは、実は前々作「GLOW」でも実証済みだったりする。
 そして三つ目はもちろん、宮崎あおいちゃんが今までの暗い役どころから一転、笑顔満面の演技を見せてくれているところ。彼女と等身大のキャラクターを""演じる""ことの難しさを知ったというあおいちゃんだけど、CMですら滅多に笑わない彼女の貴重なプロモーション映像としてのお値打ちもアリ。シッポファッションに身を包んでの着せ替えサービスカットも挿入されているので、楽しみにしていて欲しい。同じく公開中の「害虫」との180度違う役どころや演技を見比べてみるのもオススメ。
 意外な(失礼?)見どころとしては、カミングアウトに失敗したもうひとりの悩めるシッポ人間を演じる大泉洋(パパパパパフィに出てた変な北海道人)の勘のよさ。ほとんどのシーンを一発で決めたというのも納得の素晴らしい演技を随所で見せてくれていて、大きな可能性を感じずにいられない。
 最後は鑑賞法のオセッカイ。実は筆者、この作品を北海道で二度観ているのだけど、一度観てネタバレしちゃったら面白くないはずのコメディ系作品としては珍しく、二度目は二度目なりの楽しみ方ができて、なかなか快感だった。クライマックスの展開を知りつつ観ると、中盤でマジメくさった演技をする人たち(マル秘)の様子がおかしくておかしくて。また、物語の鍵を握るアイテムがあるのだが、その伏線がちゃんと仕込まれているのを初回は見落としていたのに気付かされたり。
 そして、劇場で満足したあとは、ぜひメイキングビデオ(DVD)「宮崎あおいinパコダテ人」でおさらい。リピート鑑賞とメイキング鑑賞での仕上げが本作品の王道エンジョイスタイルだ。
ネタバレトークでだれかと語り合いたくなったら、ぜひ筆者運営のネタバレトーク専用BBS(http://www.asahi-net.or.jp/~ns8m-hgc/movie/fan/Aoi/talk.htm)で熱くどうぞ。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 前田哲監督作品から ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

■「sWinG maN(スイングマン)」(2000) オススメ度:★★★★★
出演:木下ほうか、粟田麗、宮崎あおい、北村一輝、小島可奈子
<<<ビデオレンタル中;6/25にDVD発売予定>>>
 歩行中何者かに金属バットで殴られた男(ほうか)は、事件直前に彼の助けを求める声無き心の叫びを聞いた少女(あおい)ら目撃者に協力を求めて、自ら犯人探しを始めるが、バットを握った途端、犯人とのある種の""共感""が芽生える。。。
 何を隠そう、筆者が宮崎あおいという女優を""発見""した記念碑的作品でもある。

■「GLOW 僕らはここに・・・・。」(2000年) オススメ度:★★★★★
出演:上原歩、斎藤重人、生田いづみ、松田美由紀
<<<ビデオレンタル中;6/25にDVD発売予定>>>
 ストリートでカリスマ的人気を誇る素人の若者たちだけで等身大の映画を撮ってゆく、ストリートムービープロジェクト第1弾。そして、TVドラマ「R−17」であおいちゃんと共演したカリスマモデル・上原歩の記念すべき第一回主演作でもある。
 とにかくストーリーが素晴らしい。また、ズブの素人ばかりなのに、セリフ回しから身振りまで、ここまでカンペキに作り上げた監督の演出力の高さにも脱帽。ここでも監督は携帯メールをあまりに効果的に使って恋を演出している。こんなメッセージを思いつくなんて、監督はどこまでピュアな人なんだろう・・・。
 この作品にはメイキングビデオもあって、合わせてレンタルされているので、ぜひ本編鑑賞後はこのメイキングで感動をさらに深めて欲しい。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
 前田監督についてもっともっと知りたい方、前田監督と語り合いたい方は、作品紹介や最新ニュースの他、ほとんど毎日監督自ら爆笑のレスを入れてくれる掲示板や、ネタがなくなると自称""詩人""の監督が書き貯めた、切なくもオモロイ詩編がアップされる日記など、魅力的すぎるコンテンツ満載の<前田哲応援サイト>(http://park.zero.ad.jp/MaedaTetsu/)をぜひ一度訪問してみよう!
 今までずっと遠くに思えていた映画監督という存在が、隣のオッサンぐらいに近しいものに感じられるようになること請け合いなのだ。

koala TOP koalaの映画三昧 TOP koalaのミニシアター 映画メルマガ「movie times」 掲示板