2002年上期ベスト10 2002/08/04

第1位:「KT」
 現職大統領にまつわる誰もが知る史実を題材にしながら、ここまでドラマティックに男の美学を描き切った坂本監督の手腕恐るべし。怒りも悲しみも野心も諦念もすべて背負った男たちを、色香溢れる日韓の男優陣が競演。歴史に残る名作。

第1位:「害虫」(地方上映中;DVD発売中)
 何回も同じ作品を観ることによって理解が深まるだけでなく受け止め方まで変わって行くということを教えてくれた作品。寄る辺なき少女の社会に背を向けた疾走を、男性である監督が一傍観者に徹して冷たい視線でドキュメントし、すべては観る者に投げつけるように委ねられる。ナンバガ・向井氏が映画撮影現場に赴いて書き下ろしたオリジナル・ナンバーと映像との見事なシンクロがもたらす至高の快感に酔いながら、ヒロイン・サチ子の行動を肌で感じ取れるようになるまで繰り返し観賞することを勧める。
(関東は吉祥寺バウスシアターにて8/9まで上映)

第3位:「I am Sam」(大ヒット上映中)
 奇跡の子役、ダコタ・ファニングと名優ショーン・ペン&ミシェル・ファイファーの共演で描かれる、知能障害者の親権にまつわる一つのエピソード。ハートウォーミングな演出を施しつつも社会の現実から目を背けたお伽話にせずに一つの結論を示して見せた点を高く評価したい。

第4位:「鬼が来た!」
 中国作品でありながら、日本支配への過剰な嫌悪や恨みから脱却した客観的な視点に感銘。この視点でしか描けない、常に他国・他思想の支配や干渉に翻弄され続けた大東亜戦争下・戦後の中国民衆の実態が浮き彫りになる。重い内容でありながら緊張をほぐすユーモアも忘れず娯楽作品として成立させた作者の手腕に拍手。

第4位:「活きる」
 ごく普通の庶民夫婦の歴史を描くことによって、第二次世界大戦直前から'60年代にかけて移ろいゆく中国の社会情勢と、それに翻弄されながらも日々の暮らしをただ重ねることでたくましく生き抜いて行く民衆の姿を浮き彫りにする、その丁寧な作風に感銘。

第4位:「青い春」(上映中)
 松田龍平究極のハマリ役。原作脚本・演出・役者。この三者ががっちりとタッグを組んでの奇跡のような作品。ミシェル・ガン・エレファントによる本編とあまりにシンクロした素晴らしい音楽と、校舎内外を黒ペンキで""彩る""森朝子による「落書きアート」にも注目。

第4位:「man-hole(マンホール)」
 家庭と家族に絶望した少女と、理想と組織の現実のギャップに絶望した警察官。人生の大切なものを失いかけたこの二人が童心にすがるように「夢のマンホール」探しに出かける。初監督作品ながら綿密に練り上げられた人物設定とストーリーの完成度は超一級。第二作が楽しみ。
 
第4位:「es」
 アメリカで実際に行われた精神学人体実験のドキュメントに主役の人生を絡めて奥深さを増したストーリーに感動。

第9位:「サウンド・オブ・サイレンス」
第9位:「恋愛回遊魚」
第9位:「今昔伝奇 座敷童 百物語」
第9位:「にっぽん零年」



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