ショートフィルム、あなたはSF派?JF派? ほか 2003/03/14

 以前予告紹介しましたように、テアトル池袋ほかにて、「SF サムライ・フィクション」で一世を風靡した中野裕之監督によるショート・フィルム(短編映画)のコンピ・プロジェクト、「SF Short Films」が公開されています(http://www.sf3.jp/)。
 ショート・フィルムと言えば、以前紹介した著名7監督によるコンピ・プロジェクト「Jam Films」(JF)が、銀座シネ・ラ・セットほかにて大ヒット継続公開中(http://www.jam-films.com/)ですが、商業公開が難しいながら一度観てみたい気鋭監督の短編をただ単にパッケージしただけのJFに比べて、SFは6短編中3本が中野監督の手によるもので、その他の作品もピエール瀧、安藤政信、そして中野監督の助監督を務めていた芹澤康久と、いずれも中野ファミリー。バラバラなJFとは違って、根底に流れるコンセプトが共通していて、6本をまとめて観る意味のある、期待通りの出来映えです。残念ながら上映館も少なく、しかもレイト上映となっていますが、3/15には中野監督の過去作を一挙同時上映するオールナイトが企画され、通常上映でも連日ゲスト・トークが予定されるなど、楽しい展開になっています。
http://www.cinemabox.com/access_schedule/ikebukuro.shtml
 かく言う筆者も、1月に渋谷公会堂で行われた出演者そろい踏みでのプレミア・スペシャル・上映で鑑賞しました。ファミリーによる映画を超えた一大イベント。第二作、三作と、今後の展開に大いに期待しましょう。

━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…
■「卒業」(2002年 日) おすすめ度★★★★
監督/長澤雅彦
出演/内山理名、堤真一、夏川結衣
□ あらすじ
 40歳を超えてなお、昔失った恋に囚われ、人生を、そして大切なものを見失いかけている男の前に、突然若い娘が現れる。てっきり彼を奪おうとしているのかと思いきや、どうもそうではないらしい。一体彼女は誰なのか。そして彼は深く長い心の漂流から抜け出すことができるのだろうか。。。
□みどころ
 情感あふれる中年版の「愛と青春の旅立ち」だ。雨の映画といっても言いほどに雨のシーンが多いこの作品。そしてラストでは、この雨が、言葉少なな会話の途中で雪に変わる。この、言葉を失うほどに美しいラストの演出をはじめ、とにかく雨(もちろん人工降雨)の演出が全編を通じ見事。映画の本筋とは離れるが、みどころの一つとして挙げてみたい。
 本筋では、TVドラマ「Good Luck」の堤・内山コンビが意外な好コラボ。内容的にも、堤がとる行動にこのドラマを彷彿とさせるものがあったりして、ドラマウォッチャーにも違和感なく楽しめる。最後までネタを明かさないジラシの演出も効いて、印象的な作品となった。
━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…
■「歓楽通り」(2002年 仏) おすすめ度★★★
監督/パトリス・ルコント
出演/パトリック・ティムシット レティシア・カスタ
上映館/渋谷シネマ・ライズ ほか
□ あらすじ
 娼館に生まれ、娼婦の世話を生業とし、いつか身を捧げるに相応しい娼婦と出会うことを夢見て中年にさしかかった主人公。ついに彼はミューズに出会い、早速彼女の幸せのため、恋愛から仕事まで、彼女の人生をプロデュースしはじめるが。。。
□ みどころ
 トップ・モデル出身で今やフランスの大スターであるヒロイン、レティシア・カスタの魅力に全面的に依存した演出なので、彼女に没入し、感情移入できるかどうかがこの作品を楽しめるかどうかの分かれ目。この点では、ミラ・ジョヴォヴィッチの魅力を前面に押し出したベッソンの「フィフス・エレメント」や「ジャンヌ・ダルク」と共通する。
http://www.cinemaparisien.com/ruedesplaisirs/index2.html
━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…
■「オー・ド・ヴィ」(2002年 日) おすすめ度 ★★★★
監督/篠原哲雄  http://www.amuse-pictures.com/eau/
出演/岸谷五朗、小山田サユリ、鰐淵晴子,松重豊,朝加真由美,山田辰夫
上映/有楽町シネ・ラ・セット ほか
□あらすじ
函館のとあるバーを舞台に繰り広げられる、少し悲しい女と男と酒の物語。
□みどころ
 函館イルミナシオン映画祭優勝脚本のご当地映画化。オー・ド・ヴィとは、蒸留酒、特にブランディの意味。でも、これを直訳すると「命の水」。このことと、人生の最後に純度100%のオー・ド・ヴィを口にして浜辺で死を迎える悲しい女たちとを対照させたところが本作のミソ。新人の原作ゆえ、多分に説明不足なところがあるが、これをどこかファンタジックなムードとして受け止めて劇に酔えるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかを分けるポイント。場所は有楽町。上映はモーニングショウ。飲み明かした土曜の朝に鑑賞してみては、いかが?
━…━…━…━…━…━…━…koala's Info ━……━…━…━…━…━…
◎ 「DROPシネマ・パーティ」http://www.cinemabox.com/event/event.cgi?3
 映像学校ENBUの学生・講師による短編を一挙上映する恒例の企画が現在テアトル新宿、テアトル池袋にて実施中。目玉の一つ、講師の前田哲監督自身による新感覚ホラー「隣のモンちゃん」は終わってしまいましたが(ムッチャ面白かった!)、今後まだ行定勲クラス、富樫森クラス、篠原哲雄クラスの作品の公開が控えており、また、舞台挨拶やトークショウの企画ももりだくさん。篠原監督&鰐淵晴子やつぐみのトークショウは必見です。
http://www.aa.alles.or.jp/~th_ikebukuro/enbu.html
http://www.cinemabox.com/access_schedule/shinjuku.shtml


koala TOP koalaの映画三昧 TOP koalaのミニシアター 映画メルマガ「movie times」 掲示板