「ギャングスター・ナンバー1」ほか、一気レビュー 2003/06/03

■「ギャングスター・ナンバー1」(英) ★★★★
監督/ポール・マクギガン
出演/ポール・ベタニー、マルコム・マクダウェル、デビッド・シューリス、サフロン・バロウズ
公式サイト/http://www.gaga.ne.jp/gangster/top/top.htm
上映館/東京渋谷・シネマライズほか
□あらすじ
 暗黒街の若き帝王メイズの子分になって頭角を現したギャングスターは、メイズを罠にはめて牢獄に追いやり、組織を乗っ取って30年に及ぶ不動の帝国を築き上げる。しかし、メイズ出所の報を聞くや、彼は・・・
□みどころ
 これは当たり!「ゴッド・ファーザー」と「太陽がいっぱい」をハイブリッドしたようなストーリーと、あえてVシネのような安っぽさを狙ったイカス演出、巧みな回想形式にかぶせられた自嘲的な独白の語り。これだけコンセプトが明確だと、見ていて実に気持ちがいい。そして、主役のギャングスター若かりし頃を演じたポール・ベタニーがとにかくいい。暗く鋭い目は、アラン・ドロンを彷彿とさせる。これが年老いてXXXになるのか?というのにはちょっと驚いたが。
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■「ロスト・イン・ラ・マンチャ」(米英) ★★★
監督/キース・フルトン ルイス・ペペ
出演/ジョニー・デップ、テリー・ギリアム、ジャン・ロシュフォール
□みどころ
 「20世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督が十年来温め続けて来た「ドン・キホーテ」(""The man wo killed Don Quixote"")の映画化が始動し、ほどなく頓挫を迎えるまでの顛末を、撮影された僅かなフィルムとともにドキュメントする異色作。
 完成しなかった作品のメイキングなんて、前代未聞?一見の価値有り。
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■「神に選ばれし無敵の男」(独英)★★
監督/ヴェルナー・ヘルツォーク http://www.tfc-movie.net/invincible/
出演/ティム・ロス、ヨウコ・アホラ
□みどころ
 ティム・ロスは、「海の上のピアニスト」のドリーマー的な演技とは打って変わって、魂も誇りも売り払ってまで身分を偽り、<敵>の胸元深くまで入り込んで立身を野望し、結果的に<敵>に同胞の大虐殺を企図させる引金を引いてしまった男の虚飾と孤独を見事に表現し、役者としての魅力と能力を見せつけた。
 ただ、真の主役であるユダヤ人の伝説のヒーロー、ジシェを演じた俳優J・アホラの演技があまりにひどく、すべてぶち壊しに。
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■「風の絨毯」 (日・イラン) ★★
監督/カマル・タブリーズィー  http://www.kazeju.jp/
出演/柳生美結、榎木孝明、ファルボー・アフマジュー、工藤夕貴
□あらすじ
 飛騨の祭とイランとを結ぶ一枚のペルシャ絨毯を巡る人々のの交流の記録。
□みどころ
 一主婦が着想し、東奔西走の果てついに映画化を実現してしまったという、日本・イラン合作映画。初めての海外遠征で本当にホームシックになってしまった柳生美結の表情を、もともとハプニングを活かしたドキュメンタリータッチの作風を是とするイランの撮影手法がうまく拾い、脚本の説明不足と演出のラフさを補ってはいる。
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■「TAXi3」(仏) ★★☆
監督/ジェラール・クラブジック http://www.taxi3.jp/
出演/サミー・ナセリ フレデリック・ディーファンタル
□みどころ
 シリーズ第三作。今回は、ダニエル自慢の改造タクシーがアッと驚く新装備でアルプスの雪山を爆走する!
 むっちゃくちゃおもしろかった第二作と比べ、キレは悪く、第一作に戻った感じ。「007」のパロが出てくることからして、もしや不死身のボンドならぬ無敵の改造タクシーで一大連作を目論んでいるのか、ベッソン君?
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 石橋義正監督って知ってる?深夜番組「オー・マイキー」の作者と言えばわかってもらえる?
 知らない人は、彼によるテレビシリーズ「バミリオン・プレジャー・ナイト」を劇場用に再編集した「カラー・オブ・ライフ」、手始めにぜひどうぞ。松本人志の笑いの世界を理想化したような、ベタでシュールな笑いが満載。抱腹絶倒間違いなしなのだ。そして彼の前作である「狂わせたいの」もビデオ化されているので、ぜひご覧あれ。あまりに洗練されたギャグセンスに、驚きさえ覚えてしまうこと必定。そして、彼の突き抜けた笑いの世界を見事に体現する無名の(?)俳優女優陣の質の高さにもびっくり。日本にこんな映像世界があったとは。
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「あずみ」
上戸彩が苦手でも、これは意外な快作なり。ド素人役者を史上最強の剣客に見せてしまう北村監督の演出の切れ味は見事。オダギリジョーの怪演も楽しい。★★★★

「マトリックス リローデッド」
第一作のサイバーで洗練された雰囲気は失われ、おセンチなメロドラマも加わって人間くさい。それでも、サイバー空間ならではの変幻自在な敵の美しいキャラクターは見ていて楽しい。★★☆

「めぐりあう時間たち」
これじゃ女と一生寄り添えない・・・。女性には共感できても男性にとってはこの上なくやりきれない。幸せって、何? ★★★

<koala>


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