「解夏」ほか、国際飛行機で鑑賞した作品の紹介 2004/01/24

■「解夏(げげ)」 ★★★☆ 
監督/磯村一路 原作・主題歌/さだまさし
出演/大沢たかお 石田ゆり子 冨司純子
□あらすじ
 視力を確実に失って行く難病・ベーチェット病に冒された主人公の青年が、恋人や親友、母親の無償の愛に包まれ、それを信じることで、生きる力と希望を見出して行く物語。
□みどころ
 ある日突然「あなたは三ヶ月後に失明します」と宣告されたら・・・?あなたが若ければ若いほど、失明の後にある長い暗黒の世界を思い、深い絶望を感じるのではないだろうか。ある意味、死の予告よりも恐ろしいかもしれない。その時あなたに婚約者がいたら、どうするだろうか。生徒たちの信望を集める有能な小学校教師を襲ったこの突然の不幸に彼が懸命に処する様を、まわりの人間との関わり合いを中心にじっくり描いた本作は、観客にこそ不幸を自身のものとして想像してみる余裕を与えてくれる。自然な形で織り込まれた丁寧な病気の解説も、この感情移入を大いに助けてくれる。
 この物語自体の感動もさることながら、本作の魅力・功績はやはり、石田ゆり子という女優を再発見し、見事に輝かせたことにあるだろう。劇中、青年が出会う禅僧が、その恋人を演じる石田ゆり子を見て思わず「笑顔の美しいひとだ」とつぶやくシーンがあるが、これがそのまま、石田ゆり子本人に対する賛辞と言ってもいいくらい、彼女はこの役柄に見事にハマっている。これほどに純粋に「愛」を表現できる女優はざらにはいないだろう。
 噂が噂を呼んでか、劇場はかなりの盛況なので、余裕を持っての観賞を勧めたいところ。

■「シービスケット」★★★ 
監督/ゲイリー・ロス 
出演/トビー・マグアイア ジェフ・ブリッジス  クリス・クーパー
□あらすじ
 天才的な馬の乗り手である少年の波乱の人生と、彼が出会った一頭の名馬「シービスケット」との、人馬の関係を超えた友情を描く、アメリカ版「優駿」、あるいは「幻の馬」。
□みどころ
 実話に基づく物語とあって、事実を損ねないように丁寧に映像化されていて、難い絆と信頼関係に結ばれて馬と人とが互いに支え合ってゆくという壮大なドラマを心ゆくまで堪能できる。
 ただ、少年の波乱の前半生を駆け足でふり返る前半部が少し詰め込みすぎと説明不足とでわかりにくくて、しっかり観ていないと取り残されてしまうかも。あと、あくまで事実に忠実に、丁寧に描かれているので、過剰な演出はなく、少し物足りなさを感じる人もいるかもしれない。

■「フリーキー・フライデー」★★★☆
監督/マーク・ウォーターズ
出演/ジャミー=リー・カーティス、リンゼイ・ローン、マーク・ハーモン
□あらすじ
 互いに理解し合えずに対立する母娘は、ある中華料理店の女主人がかけた魔法によりその体が互いに入れ替わってしまう。そうして無理矢理相手の日常を生きることを強いられるうちに、お互いにそれぞれの立場や悩みを身を以て理解し、壁が取り払われて行く。
□みどころ
 かつてジョディ・フォスターが出演した同名映画(日本未公開)のリメイク。ショウビズでは、俳優の降板劇があったこととか、興行収入が今ひとつだとか、あまりいい評価をしていなかったこの作品、確かに有名どころも特別のカワイコちゃんも出ていないけれど、原作の良さもあってか、ドラマはしっかりしているし、コメディとしてのキレもノリも抜群で、これが意外にもすごく面白いのだ。クライマックスにかけての手に汗握る展開も、観ていて大いに盛り上がること必至。友達や恋人を誘ってみんなで観に行くのにモッテコイの快作だ。こういうコメディはノリと台詞のマが勝負なので、もし可能なら割り切って日本語吹き替え版で楽しんで欲しいところ。



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