武士 ほか 2003/12/20

 かつて映画祭レポートで紹介した「武士」が遂に本日公開されます。これを含め、いままで紹介し損なった上映中作品をまとめて蔵出し。

■「MUSA -武士-」 (2001年 韓中) おすすめ度:★★★★☆
監督/キム・ソンス
出演/チャン・ツィイー、チョン・ウソン、チュ・ジンモ、アン・ソンギ
□あらすじ
 明が元から中国の支配権を奪いつつある頃。明王朝を訪れた高麗の使節団はスパイの嫌疑をかけられ、西方の砂漠へと流刑に処せられる。途中、元軍に襲われ自由の身になった彼らは高麗への帰郷を目指すが、将軍は元軍に捕らわれた明の王女(ツイイー!)に一目惚れ。彼女を救出し、明王朝に忠心を示して誤解を解くという計を案じる。一方、姫は、身を挺して自分を守ってくれた使節団の奴隷ヨソルを憎からず思う。姫の救出は成功するが、元軍の執拗な追撃に逢い、やがて元に追われた明の領民たちまで抱え込み、姫を巡る将軍とヨソル、そして姫との心中を避けたい使節団員や領民と将軍たちとの確執は限界を超える。そして「最後」の日。。。
□みどころ
 中国からハリウッドに進出したわれらがツイイーが、今度は韓中合作の国際映画のヒロインとして帰ってきた!壮大なドラマと激しいアクションに酔い、ツイイー演じるあまりにハマった姫君の魅力に酔い、まさに夢のような2時間。「北ホテル」を思わせるラストの姫君とヨソルとの会話シーンでは、こみ上げる涙を抑えきれない。
 主役は中国のチャン・ツイイーだし、舞台やエキストラキャストも中国中心とあって、監督や男優は韓国人でもほとんど中国映画。韓国映画が大の苦手な筆者でも、違和感なく心から楽しむことができた。「ラスト・サムライ」、「ミシェル・ヴァイヨン」と共に、この冬一番のオススメ作。

■「昭和歌謡大全集」 おすすめ度:★★★☆
監督/篠原哲雄
出演/松田龍平 岸本加世子 池内博之 樋口可南子 鈴木砂羽 安藤政信
□あらすじ
 ・・・書きたいところだけど、登場人物たちが唄う懐かしの昭和歌謡に乗せて、ある「できごと」がエスカレートしつつ進行する・・・という程度で見に行った方がいいかも。原作は村上龍。
□みどころ
 タイトルに惹かれて何も事前情報なしに見に行った筆者は、開幕いきなりの凄惨な「○○魔」シーンにのっけからびっくり。そのまま、全く先が読めない展開にスクリーンに釘付けになったまま一気に最後まで行ってしまったという感じ。平成にあって昭和に浸る登場人物たちの醸し出す「倦怠」「抑圧」「失望」
 むちゃくちゃ気に入るか、「なんじゃこれ?」で終わるかの両極端な気がするリスキーな作品だけど、筆者はとりあえず、メチャ楽しめたなり。

■「幸福の鐘」 (日) おすすめ度:★★★★
監督/SABU(サブ)
出演/寺島進
□あらすじ
 製鉄所の閉鎖によってクビになった中年男が、殺気立った職場の喧騒を後に、ふらりと蒸発する。その道中で彼は、さまざまな人生のステージに立つ人々に出会う。そして、はたと我に返った彼は、テープを巻き戻すようにもと来た道を引き返し、妻の待つ我が家へと返りつく。
□みどころ
 これは昨年末の映画祭で鑑賞した作品。やっと公開されたか、と言う感じ。今までに二回紹介したが、上映中の今、もう一度。
 みどころは何と言っても、寺島進の無言の演技。ずっと無言だったということに最後まで気付かせないところが、彼の演技力・表現力の素晴らしさ。タイトルに絡めたオチとともに、飽きさせない展開に浸って心ゆくまで楽しんで欲しい一作。

■「アイデン&ティティ」 (日) おすすめ度:★★★★
監督/田口トモロヲ
出演/峯田和伸、麻生久美子、中村獅童、大森南朋、コタニキンヤ、岸部四郎、大杉漣
□みどころ
 みうらじゅん原作、田口トモロヲ初監督作品。
 ロックバンドブームが終焉にさしかかった時代、商業主義に反旗を翻し、ロックマインドを貫こうとした一人の熱きロッカーとそのバンドの生き様、そして、彼の不安を慰め支えた一人の女性との深い愛を、本物のロッカー・峯田氏を主役に据えて、自らもロックバンドのボーカルとして名を馳せた監督が熱くロマンティックに描き出した秀作。
 ロッカーであり続けようともがく自分自身を、アイデン&ティティという恋人どうしの関係になぞらえて唄うみうらじゅん作の劇中歌が心に染みる。ロッカー・中島の恋人を演じた麻生久美子が、やっぱりすごい。すごくいい。演技は素人ながら、常に夢見るロッカーを熱く、かつほのぼのと演じた峯田氏もまた、素晴らしい。

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■梶芽衣子
 「キル・ビル」クライマックスの挿入歌とエンディングに使用された、梶芽衣子主演「修羅雪姫」シリーズ、「女囚サソリ」シリーズの主題歌「修羅の花」「恨み節」をカップリングしたシングルCDが発売されました!
 映画のサントラには「修羅の花」しか収録されていないし、オリジナルはもちろん廃盤なので、これはなかなか貴重な一枚。店頭で見つけて即買いしました。(テイチク TECA11615)
 この2シリーズは共に、「仁義なき戦い」共々「キル・ビル」のモチーフになった映画。レンタル店で見つけたら、ぜひ一見を。


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