| パトリス・ルコント最新作／韓国モノ | 2004/04/16 |
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■「列車に乗った男」 （フランス） おすすめ度★★★★ 監督／パトリス・ルコント 出演／ジャン・ロシュフォール □あらすじ フランスのとある田舎町に、銀行強盗をするためにやってきた初老の男は、町に住む裕福な老教師と出会い、彼の屋敷に投宿する。気の向くまま安住の地も持たずさすらい続けてきた男と、町から出ることも、自分の思いを行動に移すこともなく静かに暮らしてきた老教師。しかし、彼らは互いに、その相手のような生き方や暮らしに果たせぬ夢を抱いていたことが浮き彫りになる。そして・・・ □みどころ 普通なら、一生話すことも、合うことさえもない正反対の二人が、運命に導かれるようにひとつ屋根の下で時を過ごし、知らないどうしの気安さも手伝って互いの思いを、ちょっとちぐはぐな会話を通して語らい合う。この過程で、ちょっとした言動で互いに温めている夢や憧れといったものがにじみ出してくる。クライマックスに至るまで、ずっとこうした静かな時間が続くだけという、この演出がいい。そして一気に物語が動くラスト。ここで一体何が起こったのか？そもそもどれが現実でどれが幻想なのか？幾通りにも解釈できるファンタジックな脚色がまた素敵。 ━…━…━…━…━…━…━ word of mouth━……━…━…━…━…━… koala苦手な韓国モノにあえて挑戦。「悪い男」があまりによかったので、抵抗感が少なくなった気が。 ■「ロスト・メモリーズ」 （2001年 日韓） おすすめ度★★★★ 監督／イ・シミョン 出演／チャン・ドンゴン 仲村トオル 光石研 今村昌平 http://www.gaga.ne.jp/lostmemories/ □あらすじ もし伊藤博文が暗殺されていなければ、日韓の歴史はどうなっていただろう？この歴史上のタブー「ｉｆ〜もしも」を日本の極右組織が時間の扉を開ける鍵で実現してしまった末の、日本の植民地と化した２１世紀朝鮮半島を舞台に、朝鮮民族主義者たちが「正しい」朝鮮の歴史を取り戻そうと、時間の鍵を奪い返すために極右組織や日本植民地政府を相手に死闘を繰り広げる。その戦いの中で、共に日本警察の捜査官として生きる日本人と朝鮮系日本人との友情が交錯。主人公たちは、友情か祖国か家族か、過酷な選択を迫られることになる。 □みどころ 予想を遙かにしのぐおもしろさにびっくり。日韓の歴史の分岐点を「伊藤博文暗殺成否」に求めた着眼点のおもしろさだけでも観る価値大あり。アクションも中途半端に特撮を使ったりしないガチンコ中心で迫力満点。男二人の美しい友情も見事な演出で描き出されていて、見応えたっぷり。ストーリーは、前半は日本人に気持ちよく、やがて韓国に花を持たせる展開ではあるけれど、製作には日本資本も関与しているので、演技や演出に韓国映画っぽさはなく、むしろ純粋な日本映画のようなテイストなので、韓国映画が苦手な人でも違和感なく楽しめそう。今村昌平監督がなかなかいい役で登場するのもみどころ。また、ロケは、日本占領下の韓国という設定上、すべてソウルでやるわけにはゆかないので、日本が多用されている。映像から、「日本領ソウル」として見慣れた我が街を見つけ出す楽しみもあるかもしれない。 ──────────────────────────────── ■「殺人の追憶」 （韓国） おすすめ度 ★★☆ 監督／ポン・ジュノ 出演／ソン・ガンホ キム・サンギョン キム・レハ ソン・ジェホ http://www.cqn.co.jp/mom/ □あらすじ 韓国のある田舎町で実際に起こり、未だ犯人不詳となっている猟奇的連続婦女暴行殺人事件に関わった刑事たちの焦燥と苦悩の日々を、過剰に暴力的で過剰に滑稽、そしてかなりお下劣な独特の韓国テイストで描く。音楽は岩代太郎が担当。 □みどころ しかしまあ、韓国警察の犯罪捜査手法というのは・・・自白至上主義、日常的拷問、見込み捜査、誤認逮捕、証拠捏造。見事なドブ板捜査で、日本で言えば戦前の刑事モノを見ているようだし、あるいは共産圏の陰湿なスパイ摘発劇のようでもある。 感情表現のクセや品性の無さ、そしていちいちキツすぎて気持ちが引いてしまう暴力シーン、また、シリアスになりきれない安っぽいおとぼけ演技のオンパレードで、よほどの韓国映画ファンでないとかなりの違和感があるに違いないが、そうした部分に敢えて目をつむってストーリーや登場人物の心象に目を向ければ、そこに事実の持つ重みも加わって、人が人の罪を理解し裁き糾弾するということの難しさが浮き彫りとなり、松本清張作品のようなえもいわれぬやりきれなさを感じずにはいられない。 ＜koala＞ |
