koalaのおすすめサスペンス 2000/07/11

 私はサスペンスと言えるジャンルはほとんど観ないもので、今回のテーマは選定に苦労しました。

■「白い家の少女」(1976年 米) 評価 ★★★★☆
監督/ニコラス・ジェスネル
出演/ジョディ・フォスター、マーチン・シーン
 
■コメント
 わずか13〜4歳のJ・フォスターが、町外れにひとりで暮らす孤独な少女を怪演。「ご両親はどうしたの?」「だれかに面倒を見てもらわないと」と言い寄る大人たちに対して、頑なに「モイ! ホウス!」(My House)と、スキっ歯のためもあって多少訛った発音で気丈に抗し続ける少女は、映画の登場人物ならずとも不可思議で一種異様な感じさえ漂わせる。
 いったい少女が隠そうとしているものは何なのか?そこまでして彼女が守ろうとする家には何があるのか。消えた家主の行方は?

■「太陽がいっぱい」(1960年 仏) 評価 ★★★★★
監督/ルネ・クレマン
出演/アラン・ドロン

■コメント
 現在公開中の「リプリー」のオリジナル作品である。
 原作はパトリシア・ハイスミス""The Talented Mr.Ripley""
 世界的大ヒットを記録したアラン・ドロンの出世作。彼自身の生い立ちとも重なり合って、迫真のドラマとなった。とにかく、満悦の主人公・絶叫する恋人・迫り来る警察が交錯するラストシーンが秀逸。
 koalaがフランス映画の素晴らしさを発見した記念碑的作品でもある。リメイクが上映中である今こそ、ぜひ一度ご覧あれ。

■「双生児」(1999年 日) 評価 ★★★★☆
監督/塚本晋也
出演/本木雅弘、りょう、藤村志保、筒井康隆、麿赤兒、浅野忠信、石橋蓮司、田口トモロヲ、もたいまさこ、竹中直人
 
■コメント
 原作は江戸川乱歩の初期の短編作品「双生児〜ある死刑囚が教誨師にうちあけた話」。ただ、これは本作のモチーフとはなっていても、ストーリーに直接的な関係は薄い。ディテールについては脚本・撮影・編集まで兼ねた監督のオリジナルと言って良い。
 とにかく泣きそうになるぐらい「怖い」映画だ。オカルト、あるいはホラーという意味ではなく、精神的に追いこまれ、混乱させられる。色調や音響をフルに動員して「富裕区街」と「貧民窟」との対照を醸し出し、また、背後に迫る「気配」の恐怖を表現する監督の手腕に感嘆・脱帽。


■「ゲーム」(1997年 米) 評価 ★★★★☆
監督/デビッド・フィンチャー
出演/マイケル・ダグラス、ショーン・ペン
 
■コメント
 資産家が弟から誕生日に送られたある「ゲーム」への招待状。しかし、契約の夜から資産家の周りでは奇怪な事件が連発し、ついに彼は全財産と全友人を失う・・・。
 「ファイト・クラブ」のデビッド・フィンチャー監督による異色サスペンス。ラストにかけての余談を全く許さない急展開が見事。観終わったあとも、どうも腑に落ちない点が残る(例えば、弟の血痕は貫通銃創を意味している点、女性仕掛人と同行した主人公の運命、などなど)。もう何も信用できない。狐につままれたようなエンディングだ。数日して何か更なるトリックを思い当たって「アッ」と声を上げてしまいそうでならない。


■「ダイヤルM」(1998年 米) 評価 ★★★★☆
監督/アンドリュー・デイビス
出演/マイケル・ダグラス、グウィネス・パルトロウ
 
■コメント
 ヒッチコックの名作「ダイヤルMを廻せ!」(1954年)の44年ぶりリメイク、というより翻案。
 ストーリーで共通するのは、妻の資産、夫の妻への殺意、鍵、電話という基本骨格だけ。半世紀弱の間に、女はより強く賢くなり、ヒッチの独壇場だったサスペンスは後継者たちによってここまでパワフルに進化した。また、その脚本に十二分に応えるすばらしき俳優たちの存在も大きい。
 綿密に何重にも練り上げられたトリックとそのためのスキのない下準備。一つとして見落とせるシーンがない。すべてがあとで意味を持ってくる。これを解明する妻、その上を行く周到さで自らの危機を回避する男にうならされる。

■おまけ・・・

 もちろん、我が愛するJ・フォスター主演の「羊たちの沈黙」、I・バーグマン主演「汚名」「ガス灯」、名匠デビッド・リンチによる「ロスト・ハイウエイ」、美しきJ・フォンテーン主演の「レベッカ」、ショーン・コネリーの「薔薇の名前」など、定番と呼べる作品群はやはりリピート鑑賞に耐える超秀作。あまりに有名なので、今回はあえてリストから外しました。

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