短編映画館Tollywoodの紹介 2000/06/05

◆特報!!◆
 下北沢にTollywood(トリウッド)というすごい短編映画専門館を発見
 しました。「ぴあ」の<定期上映館>欄で「パトリス・ルコントのボレロ」
 という長年探していた幻の作品を見付けたのがきっかけ。
 行って見ると、おしゃれな内装もさることながら、ゴダールのラブリー
 な処女作にもめぐり合えるなど、マニア垂涎のラインナップに驚愕。
 そこで今回は、地方の方には申し訳無いのですが、この映画館の紹介も
 兼ねて、その時観て来た短編四作について報告させて頂きます。
 
 この映画館の詳細については、丁寧で充実したホームページ
   http://homepage1.nifty.com/tollywood/
 をご訪問下さい。関根勤さんとの意外なツナガリも紹介されてます。

■「パトリス・ルコントのボレロ」(1992 仏) 評価 ★★★☆
監督/パトリス・ルコント
出演/ジャック・ヴィルレ、ロラン・プティジラール
■評
 「15分以上もの間、全く同じリズムをロボットのように刻み続けなければならない「ボレロ」(ラベル)のドラマーを、人間として描きたかった。」ルコントが長年温めたこの構想を、演奏中のオーケストラのメンバーをハンディカメラで撮影するという最もシンプルな形で8分という極短編に集約させた作品。

■「男の子の名前はみんなパトリックっていうの」(白黒 1957 仏) 
評価/★★★★★
監督/ジャン=リュック・ゴダール  脚本/エリック・ロメール
出演/ジャン=クロード・ブリアリ、アンヌ・コレット、ニコール・ベルジェ
■評
 これはまさに掘り出しモノ!!
 当時映画批評活動を続けていた27歳のゴダールが盟友の映像作家エリック・ロメールの脚本を基にはじめて製作した短編。
 このロメールやフランソワ・トリュフォーとの出会いを経て、彼らとともにゴダールもヌーヴェル・ヴァーグ(=映像革命)の中心的存在となってゆく。本作の2年後、ゴダールは「勝手にしやがれ」で一躍世界的名声を手に入れることとなる。
 ゴダールといえば、詩的、理屈っぽさ、政治色、皮肉っぽさなど、とっつきにくい印象が付きまとうが、本作だけは別物。まるでトリュフォーの作品かと思えるほどに、恋に恋するパリジェンヌたちの日常を、<偶然同じ男に別々にナンパされたルームメイトの女の子たち>という状況設定の下、ビビッドに、キュートに描き出している。
 非常にラブリーな一作で、脚本は他人の手によるとはいえ、ゴダールにもこんな作品を良しとする一面があるというのは驚きであり、彼に対するイメージが少なからず変えられた。強いて言えば「女は女である」に通じる作品といえようか。

■「おとぼけオーギュスタン」(1995 仏) 評価 ★★★
監督/アンヌ・フォンテーヌ
出演/ジャン=クレティアン・シベルタン=ブラン、ティエリー・テルミット
■評
 「ドライクリーニング」のフォンテーヌ監督による短編。
 耳が悪くてドモリ症(ちょっと放送禁止用語。ゴメン!)。両親はポルトガル系移民で顔だちはまったくの異国情緒。それでも「どんな役でもこなします、簡単な役なら。」と高いんだか低いんだかの自己評価でめげずに売り込み・・・そんな売れない俳優の日常をコミカルに描く。

■「ある党員の履歴書」(1975 ポーランド) 評価 ★★★
監督/クシシュトフ・キェシロフスキー
出演/実際に除名処分になった経験を持つ元党員 ほか
■評
 「トリコロール」(赤/青/白の愛)三部作、「ふたりのベロニカ」のクシシュトフ・キェシロフスキー監督によるドキュメンタリー短編。
 不祥事によって党籍除名の処分を受けたクララクが処分を不服として起こした提訴を受けて、彼の出頭を仰いで検討委員会が開かれた。フィルムは、官僚的な委員会メンバーたちが、不祥事の訴求を離れ、彼の愛人問題やキリスト教式で執り行った結婚式、富農の娘を妻としたことなどのプライベートにまで問題を広げて行く過程をドキュメントする。
 今後、同監督の「煉瓦工」「種々の年齢の七人の女」が続けて上映される予定。

◆追記◆ 
 来る6/22(木)〜6/25(日)まで、横浜にて<フランス映画祭>が催されます。パトリス・ルコントの最新作「サン・ピエールの未亡人」はじめ、J=P・ベルモンド、S・マルソー、C・ドヌーヴ、E・ベアール、C・ゲンスブールなど、フランスのトップ俳優たちが主演する新作映画が多数上映されます。ゲスト&サイン会もルコントはじめ多数予定されていて、ファンにはたまらないイベントになりそう。
 もち、koalaも仕事を投げ出して駆けつけます。

<koala>

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