koalaの父の日おすすめ映画選 2000/05/27

■「キャラクター 孤独な人の肖像」(1997年 蘭) 評価 ★★★★★
監督/マイケ・ファン・デイム
出演/ヤン・デクレール、フェジャ・ファン・フェット
受賞/アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ映画祭観客賞ほか多数
■Comment for Recommendation
 冷血な仕事ぶりで人々を震え上がらせる名執行官の父と、彼に半ば生み棄てられた息子。愛情表現のできない彼らの心を、屈折したいきさつがさらに凍て付かせ、愛は憎しみとしてしか伝わらない。そして、息子が社会的成功で父を克服したその日、愛あるが故の悲劇が二人を襲う。未だ嘗て、これほど深く不器用な愛を描き得た映画はあったろうか。それでいて、ちりばめられた独特のユーモラスが程よく緊張をほぐしてくれさえする。
 会話が絶えがちな父と子に是非おすすめの珠玉の一作。

■「BARに灯ともる頃」(1989 伊) 評価 ★★★★
監督/エットーレ・スコラ
出演/マルチェロ・マストロヤンニ、アンヌ・バリロー
■Comment for Recommendation
 片田舎の町で兵役生活を送る息子の許を訪ねた弁護士の老父。二人で過ごす休日の一日を追う中で、なかなか子ばなれできない父親と、自分の人生を歩み出した息子との絆と溝を浮き彫りにしてゆく。二人のぎこちない触れ合いがなんともほほえましくあり、また、身につまされもする。力不足ながらもあらゆる面で父から独立したい息子と、そんな息子がもどかしくもあり、また素直に独り立ちを認めたくない複雑な父の心。互いに互いの心情を理解し、思いやり合える関係を築きたい平和な家庭の父子に送るハートウォーミングな一作。

■「ある愛の詩」(1970年 米) 評価 ★★★☆
監督/アーサー・ヒラー
出演/ライアン・オニール、アリ・マッグロー
■Comment for Recommendation
 大金持ちの息子と貧しい家庭出身の娘。彼は厳格な父の反対を押し切り、絶縁してまで彼女と結婚。彼は奨学金をもらいながらの学生生活、彼女は夢を捨てて家庭に。苦難の甲斐あって彼は一流弁護士事務所に就職を果たすが、折も折り、彼女は不治の病を得たことを告知される。。。
 結婚にまつわる父子の対立という、よくあるケースではあるが、両者の頑なな態度が時に息子の人生を歪ませ、そのフィアンセの人生にも多大な犠牲を強いる結果を招くという教訓的な作品。議論や対立はあっても、最後には笑い合える親子関係でありたい。そんな父子の和解のきっかけになるかも。

■「プロヴァンス物語・マルセルの夏/マルセルのお城」(連作) 
評価/★★★★★
監督/イヴ・ロベール
出演/フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル
■Comment for Recommendation
 家族の大黒柱として、威厳に満ち、妻や子供たちの尊敬の対象であり続ける父親像。古風ではあるが、現代の我々がどこかに置き忘れてしまった大切で懐かしい家族像・父親像の一つの理想型がここにはある。子供たちにとって、尊敬できるもの、絶対的なものの存在というのは、情操教育上とても大切なのではないだろうか。「友達感覚」の親子関係が一般化した現代に敢えて提示された古き良き家庭像が、妙に新鮮に胸に響く。

<koala>

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