ボクサー 最後の挑戦 1999/09/02

「ボクサー 最後の挑戦」 (1995年 仏) 
評価:★★
監督:ベルナール・ノエール
製作協力:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ、クリスチャン・シャムタン、アン・ルーセル、イザベル・カンデリエ
映画館:新宿「シネマ・カリテ」(上映中 9/17まで)

引退間際のカサノバ・ボクサーと寸借詐欺の童貞男がヒョンな出会いとクサレ縁で車に同乗、フランスを南へ縦断するコメディ調ロード・ムービー。取るに足りない二人の人生にはしかし、真の敗北者とならないために打って出るべき大勝負が残されていた。互いに染み付いた性癖を捨て切れぬまま続ける珍道中、その時はやってきた。一人にはあまりに突然、そしてもう一人には自らその戸口の前に立つことで。
「非情の罠」を思わせるオープニングと、粋で甘いラスト。この二つを最初に思いついて、あとは途中をドタバタで埋めたようなつくりで、同じく人生の敗北者を主人公にしたパトリス・ルコントの名作「タンデム」には及ぶべくもないが、テーマはやはり「愛」。それも攻めの「愛」。老若問わず「告白」することの意味と大切さ、そこから踏み出す新たな人生の存在をメッセージしている。これはまた、人生から逃げないという哲学にも通じる。レイトショーの人影まばらな映画館、軽いストーリーを鼻で笑い飛ばしながらも、観終った後心に残るものがある、そんな映画だ。

<koala>

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