梅雨も末期に差し掛かってきました。6月後半の大雨が一段落したあと、遅れ馳せながらオホーツク海高気圧が日本付近を北から覆い、ここ数日本州以北では好天が続いています。関東以北では気温も低めで、清々しい天候に。関東では朝晩は肌寒いくらいですね。梅雨前線はこの高気圧とそれに伴う寒気に押し下げられて日本付近では北緯30度線以南まで大きく南に湾曲して弱まっています。また、上空の北風で南下した寒気が一部ちぎれてあちことで塊をつくり、それにともなった(前線を持たない)低気圧が南海上に二つ三つ見られます。
さて、今年の夏ですが、果たしてどうなるでしょうか?? 一部では猛暑が予想されていますが、どうでしょうか?
結論から言えば、
・これから7月後半にかけて北からの高気圧に覆われ、梅雨明けははっきりせず、
だんだん蒸し暑くなって行く
・日本付近は太平洋高気圧の「ヘリ」に位置し、南よりの湿った風が吹きこみやすい。
本州のすぐ近くで小さな熱帯低気圧(台風の卵)が次々発生し、続々と日本に北上。
不安定な天候が続く
というシナリオが一つ考えられます。
この場合暑さは北に片寄った高気圧の温まり具合や南下度合いによるでしょう。
夏の天候に影響しそうな現在の状況をまとめてみます。
(1)海水温は・・・
日本付近の夏の天候は海水温の影響を強く受けます。現在のところ、
・太平洋北部ではいつもの年(平年)よりも1〜2度低温
・太平洋中部の赤道付近は平年よりも低温
・北太平洋中緯度(北緯30度付近)では平年よりも1〜3度高温
・日本の南海上は総じて平年より少し高め
となっています。
まとめると、
・太平洋中部では海水温の高い領域がいつもより大きく北(北緯30度以北)に広がっていて、
その北側には逆にいつもよりもかなり低温の場所が広がっている
・東西方向で見ると、太平洋中央部に対して日本の南海上の海水温の高さが際立っている
ということになります。
細かい説明を省くと、低緯度の海水温が高いところでは雲が出来やすく、気圧も低くなります。逆に海水温が低いところでは空気は冷やされて重くなるので、気圧は高くなり勝ち。だから、このままの海水温分布が続き、海水温に敏感に大気が反応すれば、
・夏の猛暑の主役、太平洋高気圧は大きく北にずれて(北緯40度から50度)、
しかも西=日本付近への張りだしが弱い
・北緯30度以南は気圧の低い領域(=低圧部)になり、日本列島中部もこの領域に覆われる。
という状況が予想されます。
(2)上空の空気の流れは・・・
日本付近の夏の天候を決めるもう一つの要因はチベット高原の暖まり方。これが強いと、日本付近の上空は対流圏上端まで高気圧になって、地上の高気圧も強まって安定した天候になるんですが、今年はこのチベット高原上空の高気圧が極めて弱い。そして日本付近の上空は低圧部になっていて、北からの寒気が南下しやすい状態が続いています。
ブロッキング現象
ここ数日、日本付近の上空(5000m以上)に、西から東へ向かう大気の流れに逆らうように直径3000kmもの大きな低気圧性(反時計回り)の渦巻きが停滞しています。そのため、本当なら日本上空で風速100m/sを超えるはずの強い西風=偏西風が中国大陸の東岸(上海あたり)で日本を避けるように北海道方面へ向かう流れと沖縄〜小笠原諸島へ向かう流れとに別れてしまい、日本列島の上空はこれらの間に入って風が弱くなっています。
このように、上空の西から東へと向かう空気の流れに逆らって渦巻きが居座る現象を、流れをせき止めるという意味から「ブロッキング現象」と呼び、同じ場所で同じような天候が続き、異常気象の原因になったりします。
今、日本付近上空にあるのは低気圧と同じ向きの渦なので、ここへ西から小さな低気圧が進んでくると、互いに強め合って偏西風から「寒気の塊とセット」で切り離されて強い低気圧の渦巻きとなり(「切離(せつり)低気圧」と呼びます)、雷雨や突風などの激しい現象を伴いながらゆっくり進む、ということが繰り返されます。
先週から悪天が続き、たびたび激しい雨や雪が降っているのはこうしたことが原因で、この先一週間も同じような傾向が続くとの予想が出ています(但し、この現象は計算機で予測するのが難しいので、いつ終わるかははっきりしません)。
本日(4/11)、所沢で今年初めてツバメを見ました。平成11年4月11日
東京のツバメ初見日は平均で4/6なので、まあ順当なところでしょうか。
昨日からの強い南風に乗って小笠原あたりからやってきたのかも知れません。