台風のお話−その1−
平成10年9月12日
 台風のお話−その2− HOME  WeatherHOME
1.台風の種類
 「台風="Typhoon"」というのは熱帯地方で発生する低気圧(北半球で反時計回り、南半球で時計回りの空気の大きな渦巻き)の日本での呼び名。 これと同様の低気圧は世界中の熱帯地方の海(太平洋、大西洋、南シナ海、インド洋、メキシコ湾)で発生します。 大西洋(カリブ海)や東部太平洋では「ハリケーン="Hurricane"」、インド洋では「サイクロン="Cyclone"」などと呼ばれています。 もちろん国や言語が違えば呼び名も変わります。 一般には"Tropical Cyclone"(熱帯低気圧。"cyclone"は「旋風」つまり渦を巻いた空気の流れを意味します)と呼ぶようです。
 これらは、発生場所が違うだけで、低気圧としては基本的には同種のものです。 違うとすれば、地形的な影響や発生の背景となる大気の流れとか海の影響による振る舞いの差ぐらいでしょうか。
2.台風の分類
 上で、日本付近では 「台風="Typhoon"」と呼ぶ、と書きましたが、実は日本の気象庁では、国際的に流通する正式な場合と、国民に天気予報として伝える場合とで、異なる基準を使っています。 国際的には"Typhoon"と呼べるのは日本で言う「強い」台風以上のもの、ということになります。
(注:平成12年6月1日より、台風の階級呼称が変わります。詳しくはこちらへ
 
 
台風の強さによる階級分け(平成12年5月31日まで)
最大風速(m/s),カッコ内はノット
日本
国際分類
分類
階級
17.2 (34)未満
弱い熱帯低気圧
-
tropical depression
17.2 (34)〜24.5 (48)未満
台風
弱い
tropical storm
24.5 (48)〜32.7 (64)未満
severe tropical storm
32.7 (64)〜43.7 (85)未満
強い
typhoon (hurricane)
43.7 (85)〜54.0 (105)未満
非常に強い
54.0 (105)以上
猛烈な
 
 台風は、大きさによっても階級分けされています。 大きさと強さとには直接の関係はない(独立の階級)ことに注意してください。 大きければ強いと決まったわけでも、またその逆でもありません。  だから、「大型で弱い」台風も、「中型で猛烈な」台風もあり得ます。「小型」と報道されているからといって馬鹿にしてはいけません。
 同じように、台風の中心気圧(中心気圧960ヘクトパスカル・・・、とか報道されるあれ)と強さ・大きさとの間にも直接的な関係はありません。 中心気圧が低いほど強いのは確かですが、大きさとの関係もあり、同じ中心気圧の台風でも最大風速には統計的に秒速10メートルぐらいの幅があります。   たとえば、中心気圧が950ヘクトパスカルの台風でも、最大風速は35m/s(強い台風)のこともあれば、45m/s(非常に強い台風)のこともあるのです。(注:大きさについても、平成12年6月1日から呼称が変わり、「ごく小さい」「小型」という油断のもとになる呼称は廃止されます。詳しくは<台風の大きさの階級>ページへ)

台風の大きさによる階級分け
階級
基準
風速15m/s以上の半径(km)
ごく小さい
200未満
.小型(小さい)
200以上〜300未満
中型(並の大きさ)
300以上〜500未満
大型(大きい)
500以上〜800未満
超大型(非常に大きい)
800以上
 
 

 
 超大型台風ともなれば、直径にして1600km。中心が大阪にあるとすると、北は青森から、東は関東から鳥島をすっぽり包み、南は奄美大島付近、西は九州・五島列島を完全に包み、韓国の済州島とソウルを通る円内(上図参照)が風速15m/s以上の域内の入るとてつもない規模になります。

3.台風の番号・名前

 日本では、台風はその年の西暦と、その年毎に発生(台風になった時点)の早い順に1番から順につけた番号を組み合わせた番号で区別しています。 1998年の台風4号は「9804号」となります。 一般にはその年の通し番号だけで呼ぶことが多いのはご承知の通り。 また、大きな災害をもたらした台風には、この番号のほかに災害にちなんだ命名をすることもあります。 たとえば「伊勢湾台風」「洞爺丸台風」などがそれです。 
 みなさん、特に年輩の方は、戦後間もなく日本を襲った「ジェーン台風」や「カスリーン台風」というのをご記憶かと思います。 これは、不幸にしてジェーンさんが被害にあったのにちなんで、という訳ではなくて(笑)、台風に米国女性の名前(first name)をつける、という太平洋戦争中に太平洋の台風を監視していた米軍で始まった習慣が一般化したものです。 その後男性の名前も含められ、世界気象機関(WMO)も認める公式なものとなりました。
 名前は台風の発生域ごとに用意された別の表に基づいて付けられて行きます。 4年または6年分の年毎に違う表が用意され、各年はそれぞれの表の頭、頭文字"A"の名前から付けて行く地域が多いのですが、日本付近(東経100〜180度、北緯0〜60度)では、発生数が多い(アルファベット頭文字の26個よりも発生数が多い年もある)というのもあって、アルファベット順に並ぶ英語名の4列の表が用意され、年に関係なく順に付けてゆく方式を採っていました(下表参照)。
 しかし、2000年1月からは、新たに台風委員会で採択された「アジア名」をこの英語名に替わってつけることになりました。これに関しては、別のページで詳しく解説しましたのでそちらをご覧下さい。

 
 
北西太平洋(日付変更線以西)での台風の命名表(1999年で使用終了)
Ann
Abel
Amber
Alex 
Bart
Beth
Bing
Babs 
Cam
Carlo
Cass
Chip 
Dan
Dale
David
Dawn 
Eve
Ernie
Ella
Elvis 
Frankie
Fern
Fritz
Faith 
Gloria
Greg
Ginger
Gil 
Herb
Hannah
Hank
Hilda 
Ian
Isa
Ivan
Iris 
Joy
Jimmy
Joan
Jacob 
Kirk
Kelly
Keith
Kate 
Lisa
Levi
Linda
Leo 
Marty
Marie
Mort
Maggie 
Niki
Nestor
Nichole
Neil 
Orson
Opal
Otto
Olga 
Piper
Peter
Penny
Paul 
Rick
Rosie
Rex
Rachel 
Sally
Scott
Stella
Sam 
Tom
Tina
Todd
Tanya 
Violet
Victor
Vicki
Virgil 
Willie
Winnie
Waldo
Wendy 
Yates
Yule
Yanni
York 
Zane
Zita
Zeb
Zia 
 
 
 

つづきは・・・ 台風のお話−その2−  HOME  WeatherHOME  メール